不可視

先月だったか、マイミクの人と医療機器販売詐欺に
ついて、話してたのだった。曰く
「レイトンハウスや豊田商事レベルなはずなのに
ニュースにならないのは、納得できない」と。
30そこそこの会社員が描くにしては余り巨大だ。
それにこの手は、発覚するはるか前からいろんな
人がカツアゲにくるのだからして、気がついたら
1割も残ってなくても、だれも驚かない。
しかしそれらを全て鑑みても、判然としてこない。
もっと底抜けてるような気もする。
たとえば。
じつは元ネタでそっくりのスキームがアメリカに
あって、あっちはここまでヴァーチャルではない
にせよ、破綻は必至のすれすれで、おさえに1桁
多く集めてるとか。



詐欺が表ざたになるたび、時代の終わりを味わう。
都合がわるいからと、目をそむけてたはずなのに
つきつけられてるような気がする。
「騙されるほうもよくない」
とは絶対に、言ってはいけない話になってる。
それというのも、真実だからだ。
社会はイカサマを、否認することでなりたってる。
欲がなければ騙されない。話がつうじないからだ。
でも欲のないひとなど、そういない。
だれかと欲望を共有できないのは1番、恐ろしい。
同じ言語体系のもとにいるとは、なにか同じもの
から盲でいるのと、かわらないのだ。



アメリカの経済ブログでもとりあげられてたから
常温核融合はべつにどうも、思わなかった。
でも「水だけで永遠に走る自動車」のニュースは
さすがに、ちからを落とす感じだった。
もうダメだと思った。
街へでかけてって知り合いに遭って、みんなから
お前だれ?て言われたとしても、淡々としてよう。
そう決心したほどだった。
なんでも理系の初歩知識さえあれば、いいかげん
だとわかるらしかった。
しかしそれも違う。
なぜなら無知を解除したとこで、錬金術をやめる
奇特なひとはいないから。
人類、数千年の歴史が証明してる。
むしろ反対と言ってよい。



触媒(ミディアム)とは、変化しないものをさす。
反対に燃料は、話題のブログのように、炎上する
しか能がない。
マスメディアのどこも、触媒としての機能なんか
とっくになくして、たきつけたり煽ったりすれば
簡単に手を血で染める。というか、ひと殺しだと
自覚のそれほどないままに、トラックでつっこむ
ような真似をしてきたからこそ、あんな自動車を
取材にいける。
当の本人たちは、時代にあわせてきただけだから
変節してしまってるだなんて、夢にも思ってない。
ささやかな明日を信じてるだけなのだ。