100物語

昨夜、シシリアで。
六本木交差点アマンド地下。老舗イタリア料理屋。
ピザやパスタが中心。昔の味。そんなに高くない。
行くのはじめて。
最近、なぜか皆、レトロなとこが落ち着くとかで
この手の店へ、やたら入りたがる。
赤白チェックのテーブルクロス。壁に吊るされた
キャンティのボトル。暖色で薄暗いライティング。
8時ちょっとまえ。
60くらいの老紳士と、30代後半の男、2人が
ふらふらと階段をおりてきたかと思うと、店内の
テーブル席をひとつひとつ
錬金術師・獄中へ」
新聞を流しのギター弾きのように、配ってまわる。
服装はまあマトモ、スーツも自分のサイズである。
しかし目が、完全に据わってる。
酒だけでああなるとは思えない。
堀江貴文が逮捕されたのだ。間違いなく、時代の
ターニング・ポイント。すべてが換わるだろう。
やがて空いた席へ腰をおろし、15分くらい前を
みつめたまま、なにも喋らずにいる。
視線も合わせない。
結局オーダーもせず、いきなり立ち上がって
「さっきの号外をよこせ」
またひと通り、客たちに絡んでから、出ていった。



街のうわさ
コカイン相場1/3まで下落とのこと



(mixi日記。2006・1・24より)