ベビーリーフのキッシュ

Midas2008-04-12


よく晴れる。
山を少しおりたとこの畑では、週末ということも
あって、トラクターが数台、くわ入れはじめてる。
まだまだ、ひばりの囀りの方がよく聞こえるほど。
牛舎の入り口にかけられた、銀色の保温シートも
そのままにしてある。
もうちょっと先までいくと今とれるのは、ねぶろ
アスパラガス、ほうれん草など。



ビーリーフのキッシュ



(1)ベビーリーフのほうれん草。長さ15センチ
未満のが、カゴいっぱい
(2)近所のハム工場までいって、ベーコンのはじ
もらってくる。スモークが効きすぎ、硬くなった
赤身や、切りおとしなど。100グラム100円
(3)ねぶろ、赤ネギ、ニンニク、ベーコンを刻む
(4)パイシートに粉うち、のばし、型にしく
(5)玉子、生クリーム、牛乳をボウルでまぜとく
(6)フライパンでオリーブ油に鷹ノ爪香りつけて
とりだし、ニンニク、ねぶろ、赤ネギ、ベーコン
さらにほうれん草をいれ、白ワイン、塩、黒胡椒
オイスターソースをほんの1しずく
(7)パイ生地へいれ、ボウルの中身を網でこして
かける。さらにピザチーズとパルメザンをのせる
このタイミングで胡椒をいれてもよい
(8)230度のオーブンで30分。チーズが焦げ
そうだったらアルミホイル



焼きあがるあいだ、昨日から読んでる「若菜」の
つづき。光る源氏大失敗の巻。女3の宮は間違い
なく地雷なのだが、やはり踏んでしまうのである。
たいしていい女でもなかったと、すぐ悟るのだが。
さっさとやめときゃいいのに。
これは、色男とは地雷もふんどかないとセリーが
完結しない。というより、3の宮こそ、その名が
しめすように、ネルヴァルいうとこの「第3の女」
必ずあなたを裏切る幻滅の夜みたいなものなのだ。



それは、一般的にはあんまり重視されてない部分
「かのしのび所」において、あきらかである。
この、下着も乾かぬうちになされた2ど目の夜は
異例だし、あいまいだ。
つまり、光る源氏は朧月夜を抱く、というよりは
すがりに。「助けてくれよ」と、懇願しにいった
のである。光る源氏は女を喜ばすことに関しては
いかなるモラルをも、持ちあわせてない。
この「あるまじきこと」を
「マズいよなウチじやみなカンカンなのに、また
こんなとこへきちまったぜ」
と解釈しただけでは、浅すぎるのだ。同じ理由で
「昔のあるまじき心など」を強引、押しの1手と
だけ読んではならない。
そうとってしまえば、光る源氏と朧月夜の、心の
交流、つまり愛という特権的な瞬間を、見過ごす
ことになってしまう。
「誰により、多うはさるいみじき事もありし」
ようは
「このひとがあんなになったのもあたしのせい…」
を、女の思いあがり、と誤認してしまうのである。



欲望の交換が、反対に心にかげさす場合もある。
下巻、六条の女楽あとの、紫の上との会話は全く
プルースト的反映だ。
光る源氏は紫の上を褒める。
「きみはあいつみたくパーじやなかったからな」
と。もちろん、女はそれがきにいらない。もっと
かまってほしかっただけなのに。お利口だなんて
いってほしくないのだ。あんなにいっぱい練習を
してたんですもの、てあたしのセリフをどうして
この人は、素直にとってくれないんだろう?そう
やって意地悪にかえしてくるのが、きのおけない
親しい男女の仲だとしたら、この世に救いなんか
ないじやないの。
それあってこそ次の段落
「ゆゆしきまで」
が、唐突でなく、整合性をもって迫る。
これは単なる心理をこえた、女に魂があるのか?
という提起までをも含む、射程の長い描写である。



この直後、光る源氏は
「いやだから女ってのはさ」
みたいなトークで、なんとかリカバリーしようと
試みる。
「おまえだけを愛してるんだ」
というべきだったのに。



ひとが互いに傷つけあうことによってしか親しく
なれないとしたら、悲しいことだ。
とくに、その件に関しては、自分は潔白なのだと
まだ悪におかされてないから、あなたとの未来に
まだいくらでも可能性があるのだと、それだけを
証明したくて、半ば無自覚なまま相手の最も深い
傷をえぐってるのだとしたら。
プルースト
「ひとは一生、嘘をつく」
と書いたが、はたしてこんなものがウソと呼べる
のかとすら思う。
なにも隠しておらず、そのふりすらしてないのに。