ニセモノのクリエイティビティ

先日、表参道に旗艦店をオープンさせたばかりの
某ブランドは、一説には本国での売り上げよりも
日本にある店、全てを足した数字のほうが高いと
言われてる。ファッション板では鬼。トレーナー
8万のプライスタグも、もうすっかり麻痺してる
から、血圧もそれほどあがらない。
暫くは知るひとぞしる。という感じだったのだが
ビトンやプラダのように中国産らしきニセモノが
各国のオンライン・オークションへ出回り始めた。
たぶん3年前くらいから。だったと思う。最初は
Tシャツで、コピー商品としてはまあまあだった。
つまり素材なり発色なり縫製なりを、それなりに
研究してたわけである。
今、展開されてる秋冬ではセーターやジャケット
ボアつきオーバーコートなど、大体のアイテムが
揃ってる。
コピー商品のキモは、いかにそっくりに作るかだ。
例えば35センチのケリーを作るよう、頼まれて
35メートルのを納品する職人は当然、プロ失格。
ホンモノと並べた時バレないよう、細心の注意を
はらわねばならない。そのためスーパーコピーと
呼ばれるそれこそ寸分たがわぬ奴は、ホンモノを
分解、研究してるのだろう。市場へ流通するのが
若干、遅れるのが常といってよい。
ところがこのニセモノたちのほとんどがぜんぜん
にてないのである。
というと語弊があるかもしれない。
たしかにここんちのタグらしきはぶら下がってる。
でもそれだけ。
まるで関係ないと言ったほうが近いかもしれない。
ブックのどこにも載ってない、店頭でだれも見た
ことない、下手すると
「あれ?新製品?あんなのあったっけ?チェック
忘れてたのかな」
勘違いするくらい、別ものなのだ。
とはいうものの特段、クオリティに気を配ってる
雰囲気もまた、ない。
これは新しい。
きっと職人はエルミアがピカソマチスの贋作を
描くよりも自由な心をもって、ミシンを踏んでる。
ニセモノになりきってるのだ。
ここ2シーズンくらいの話である。