擬薬の技法

長かった夏休みも終わり、いま東京へ向かってる。
今年さいごのご当地ネタということで、こっちの
地上波では、あいかわらずトップあつかいの続く
「紀元」水について書いときたい。
なんでも
「癌ですら治すといっても過言でない」
まほうの水だ。
ミクシィで拾ったかぎりでは、創立者は元テキヤ
だったらしい。
テキヤなら神農だから、この手の商売は御家芸だ。
寿司スシ作業や、腕時計売りみたいなもんである。
日本1有名なテキヤの記念館が同じ町にあるのは
たしかに不思議な暗合だが。



なんでもベンツ600プルマンを持ってるとかで
まさか新車で買ってはいないだろうが、偉いもん
である。まともに動いてるとすれば、それだけで
尊敬にあたいするほどだ。
本来は遊行の民であるテキヤが定住した訳だから
このような、田舎町では無用の長物とすらいって
よい超高級自動車が、移動を象徴してる。
このあたり、まるでなんの機能もあるはずのない
お水が突如、効能を発揮するのと構造は対比する
のである。
1970年という設立時期をみるに、この団体が
わが国のモータリゼーションを裏打ちしてるのは
間違いない。



ウチの山小屋のあたりはかつて日本のチベット
呼ばれてたのだった。
東京から行くのに5時間くらいかかった。
それが今や上信越道経由でその半分、新幹線でも
おなじくらい。
有り難みも薄れ、神通力が落ちるのも仕方ない。
文化史からすると石油ショック以来とも言われる
新車販売の低迷やF1グランプリ大失敗と並列に
語られるべきではないか。