ジャンセニズムと超能力

秋の夜長、せっかくの連休なので懸案の超能力を
身につけんと、アマゾンのマーケットプレイス
購入したカッパブックス(ISBN4334004059_c0240)を
ひもといた。
ピラミッドパワー、キルリアン写真等お馴染みの
ネタにまじって
「念力で人を動かす。
電車のなかなどで特定の目標に向かって
『こちらを向け』
という念を集中してみる。
成功率の高い人は
『電話をかけろ』
『タバコを出してすえ』
『頭をかきなさい』
のように何か行動を指示してみよう。
意外と成功率が高いものだ」
初版1982年。恐るべき昭和パワーである。
当時の人々がどれほどマジで読んでたのかどうか
たった25年まえなのに、南京大虐殺の真相を探る
以上に謎めいてるのだが。
だがこの失われた10年に続く閉塞状況を鑑みるに
今の日本人に欠けてるのはこのひたむきなガッツ
ではないだろうか。
ひとつ気になったのは、やはりというか
「邪念を捨てる。心を正しく。
自我と利欲は超能力を働かせなくする」
精神主義が説かれてるとこだ。
つまり悪用は厳しく断罪されてるのである。
必然てきに導かれる真理は以下ようになる。
すなわち、われわれが念ずるとき、例えば
「曲がれまがれ」
そう唱えるのは、上級者むきだということだ。
俗世の誘惑にまだ惹かれがちならば、スプーンを
こすりながら
「世界に平和がきますように」
と真摯なメッセージを囁いたほうが、よい結果が
得られるわけである。
そう思って見ると、およそ現世利益を謡い文句に
してる集団は、能力開発ではなく自己治癒の試み
として、日夜ありがたいおことばを世間にかけて
くだすってることに、なってくる。