本気になりたい

ポルノグラフィーの1ジャンルに、傾向小説と
呼ばれるものがある。
プロレタリア文学蟹工船」などがそうだ。
これらがなぜ猥褻かというと、内容でなく形式
ライフスパンが、その原因なのだ。
たとえば「蟹工船
北海の蟹漁をおこなう船が、いかに人間存在を
ふみにじってるか。どれほど、環境が劣悪か。
切々と述べた傑作だ。
筆者は
「世の中こんなじゃコマる」
と思ってる。労働者が、ここに描かれたような
暮らしから1刻もはやく、解放される。それが
小林の願いであった。



ここで物語は、奇妙にねじれ始める。
仮にこの作品が、ひとびとに感銘をあたえたと
しよう。そして望み通り、みんなが善意で問題
解決にあたり、200年が過ぎたらどうなるか。
そのころには、だれひとり、何が書いてあるか
わからなくなってしまってるはずだ。
つまり、この作品は広く読まれることによって
理解されなくなるのを願ってるのだ。コンビニ
弁当のように期間限定たるばかりか、じぶんで
自分のクビを絞めてる、メンヘルっぽい言動を
もって、その本質としてるのである。



ブック1stで唯一まともな「小悪魔日記」が
差してある棚から適当に抜いて、立ち読んでる
と、背後に
「あ○のあ○こ…」
つぶやきながら、なにかを探してる気配がする。
そんなことが4、5回あって、こりゃたいした
盛りあがりなんだな。と思ってたのだった。
クローズアップ現代によると、20〜40代の
女性から熱烈に支持されてるらしい。



代理店社会主義リアリズムとは、共産主義なき
あとの、資本主義リアリズムだ。
今ではもう、総書記や革命評議会議長ですらも
プロレタリアが総決起するなどと、信じてない。
だからといって、滅んだとするのは早計だろう。
壁がなくなったのは、単に差異がうせたから。
核技術のように、共産主義的なものが世界中へ
拡散してしまったおかげで、そんな必要がなく
なったから、とも考えれるのだ。
もはや脳死状態と化した社会主義リアリズムに
カンフル剤をしこたま打ち、可能なかぎり延命
処置を施すことによって、グローバリズムへも
奉仕させてるわけである。