12年前の明日

朝がた、ぼらけてきたので、ちょっとだけ散歩の
つもりで六本木へ。帰りにバーAよってみる。
ほどなくしてTくん、Hさんも来る。
3人で神社まえの喫茶店でモーニング・セット。
七夕会の話などする。
クロムハーツに長髪タンクトップという、およそ
似つかわしく、というかこれまでお目にかかった
ことのないひとが当然、みんなの視線を浴びてて
いったい何に入札すんだろ?
と興味津々みまもってたら、革張りの三島由紀夫
大事そうにかかえて、帰ってったんですよ。
Hさんの説では
「かつて『パウリーナ』とかあっちの翻訳モノは
2丁目系がメインで愛好してた」
今ではもう、そういう伝統は消えさってしまった
と思ってたが、歴史の断絶をのりこえ、ふたたび
イカルチャー第2世代がキテるんじゃないか?
と。
暗くなってきたのでスナックSでA子にX貰って
Gへいく。
満員。といってもダンスフロアが窺えない、とか
ソファに坐ったらもう最期。という感じでもない。
土曜は5000人、入ったとか。
みわたす限りでは、どうやらタダ券をばら撒いた
様子、これでは週末とどう違うのか判然としない。
エキストラだと思うようにする。ところが暑くて
もったいない。Mさんに挨拶だけして、流れると
きめる。すると開口1番、やわらかい声で
「だいたいからしてアンタは、いつみてもダサい
けど、そこがいいとわかった」
あきらかに危険。なるべく目をあわさないように
する。
ようやくのがれて階段をおりると、入り口近くで
Yさんにつかまる。さすが蘇える金狼だけあって
本日、初めてみるダブルの(チョークストライプ)
スーツ。
「上?いかないんですか?」
すると
「ギンザにいこうよ」
女なんか上にいくらでもいんじゃないですか?と
たきつけても
「いやぁおねぇちゃんがさ」
所在なさげである。稀代のいろごのみにしてこの
ていたらくでは、さっさとフケるにしくはない。
固辞して別れる。結局4:30帰宅。
滞留ほぼ24時間。
(1995・7・18付の日記帳より)