煽動の歌謡史

2007年の前半をふりかえって



坂井泉水の音楽葬、なるものをTVで見る。
とむらいにおとづれた人たちの、誰もが上から下
まで数万円といった地味なよそをいで、いったい
どこに日ごろ、かくれてたんだろうと思った。
ふだんなら決して画面に登場しない、自前のはれ
ぎを身につけた彼らの、口ぐちに述べるに
「はげまされた、勇気をもらった」
という想いだった。
大衆とは感情の贈与をうける人びとをさすらしい。



かつて日本にも、10年で収入が倍になるという
ゆめが、まことしやかにささやかれてた、時代が
あったのだときく。
そんな中、さらなる高みを、めざさんとしたころ
「うえをむいて歩く」
のが、もちうただった歌手が、墜落した。
このたびは、社会の格差なるものが叫ばれ、階級
固定化の不安におびえるひとが増え、かち組だの
まけぐみだのが、公然の事実として語られるうち
「負けないで」
たった3メートルより転落。



きせつのように、なにかがめぐっていったのだと
思ってる。