陰謀全入時代のロハス

まずなによりも先に、世界観の対立がある。
これを抜きにしてしまっては、いかなる議論も
道徳を説いてるようにしか聞こえない。
かんたんに確認しときたい。



1)20世紀的な世界観。人文科学をベースに
民主主義を接いだもの。今もわれわれが学校で
教わってる、いってみれば平凡なイデオロギー
「ここのクラスには30人いて、そのうちの…」
からはじまって、メルカルトルが地球を測量し
アポロが月へいった。という
パワーズ・オブ・テン」
みたいなやつ。
そういえば映画「エクソシスト2」でも、あの
革張りのシェル・チェアに、リンダ・ブレア
フミヤみたく座ってましたよね。



対して
2)「月へいってない!あれはスタジオ撮影!」
という、いわゆるセカイ系のみなさん。
これをたんなる「自己チュ−」と勘違いしては
ならない(もちろんそうなのだが、やや複雑だ)。
「世界が自分を中心にまわってるなら、みんな
勝手にやったらいいじゃないの?わたしのこと
なんか。ほっといてよ!ね?」
そして平和が訪れた…
となりそうだが、そうはいかない(らしい)。
だからこそ、われわれは
「ストーカー」
というひとことに、微妙に反応してしまうのだ。



これは、ライプニッツニーチェガンダム
足し、4で割ったようなモデルの上に成り立つ。
それぞれが、それぞれの島宇宙を、構成しては
いる。ここまでは唯我ろんみたいなものである。
「世の中はわたしの頭んなかのできごと」
しかし、こうしてる間にもダルフールで、罪も
ない人々が、殺されてってるだけのコトはある。
さすが21世紀、ヘッド博士の世界塔も時代の
影響を深くうけてしまってるのだ。
ビリーズ・ブートキャンプがあんな流行ってる
のは、今がやっぱり第3次世界大戦の真っ只中
だから、でしょ?



セカイ系のチンピラの話を、注意して聞くと
「雑魚」
だの
「小物」
といった、いささか余裕のない形容詞に出くわし
唖然とする。
しかしこれを
「バカと言ってるやつが馬鹿」
のような、アインシュタイン・モデルで説くのは
限界がありすぎる。
これは、彼の精神状態が切迫してる。つまり彼の
島宇宙デス・スターのように外部からの侵略の
危機に、さらされてることのあらわれなのだ。



おそらくはそれぞれモナドが、パワーフィールド
のようなものを構成してて接触、接近に際しては
「ちからへの意志」
が働き、弱者の存在そのものを破壊してく。そう
考えてるのであろう。
わたしは常に、脅かされつづけてる存在。である
がゆえに
「俺より強い、弱い」
「大物、雑魚」
「天才、白痴」的な、乱暴な価値判断が、まるで
ファミコンのコントローラー・ボタンを連射する
がごとく、生きてく上で、必要とされる。
勝ったものだけが、適当なこと言って毎日、楽に
暮らしてけるのだ。



かつてKLFに代表される、アンビエントハウス
というジャンルの音楽があった。
わたしはこの黎明期ゆえの世界像把握を
セカイ系(環境派)」
と名づけたいと思う。
禁煙したての連中にかぎって、間接喫煙について
あれこれ言ってくるのも、亜種と定義したい。
「オレのセカイはできたてホヤホヤ、その境界は
細胞膜のように薄く、あいまいだ。だれかが侵入
してきたらオレは食われ、潰されてしまう。そう
ならないよう、めいっぱい自己主張せねば…」



たいへんにけっこうなお話なので、わたしも是非
ひとくちのせていただきたいと思う。



公安(もと)緒方長官の着メロは、ごぞんじ映画
「スティング」より
「いっちょカモろうぜ!」のテーマである。
あのニコニコ顔のウラに、はたしてどんな策謀が
かくされてるのか?
だれが誰をハメようとしてるのか?
などと考えてるのは、じつは全員、雑魚なのだ。
なんにも隠れてない。真実は表面にある。ミイラ
とりもミイラもいない。
なぜならばわれわれはすべてこのロボット長官の
夢のなかの存在にすぎないからだ。
目下、最も強力なパワーフィールドを発してるの
は、長官である。セカイは長官を中心に回ってる。
いつまでたっても、ゴドー氏がやってこないのが
現代ならば、如月ミキはたったの1年でこの世に
復帰してくるのだから。



中央アフリカのとある村に
「橋をかける秘密結社」
というのがある。今のゼネコンのルーツである。
ある朝、目がさめるとジャングルのむこう、隣村
との境界に、それは立派な、1晩でつくったとは
とうてい思えないような、つり橋がかかってると
いうのだ。
村人のうち、だれがこの作業に従事してるのかは
謎だ。そしてなんたって、漆黒のやみ夜なのだ。
コンヴィニの開業が待たれるとこである。



いうまでもないことだが、秘密結社とはマフィア
の別名だ。
「日本社会はマフィア化した」
みたいなレポートが、総研から流れてくるように
なって久しい。
が、ほとんどの人はマフィアがいったい、どんな
ものか、わかってないのではないだろうか。
マフィア化した社会、とは
1)加害者不在、全員が被害者
2)だれに訊いても
「マフィアなんか知りませんよ遭ったこともない」
と答える世界をさす。
たとえば
「ダイハード4.0」
を始めとした、昨今の映像作品とやらがそれこそ
箸にもかかってこんのは、みなさんお嘆きの通り。
でも、ここだけの話だが、映画館に集まる民衆の
大半がブロガーなのだ。
内職商法みたいなもんである。



松本サリン事件から早13年がすぎ、陰謀ろんが
街では花ざかりだ。
ペンタゴンにつっこんだのはミサイル…」
みたいな話は、石をなげたらあたるほどになった。
まるで陰謀のひとつも語れないようだと、大人の
資格がない。くらいのイキオイである。
イニシェーションを終えた共同体の成員は密かに
結社へとくみこまれる。という、どこかの部族を
みてるようだ。
「ブッシュとビン・ラディンさんが、じつは裏で
ツーカーの仲」
って、ちょっときくとスゴそうだけど。
われわれはもう何年テレフォン・ショッキングを
眺めてるというのだ。そんなの、常識ではないか。



トロブリアント諸島に住むドブ族の社会は、完全
還元型である。
周囲の島々にくらべ、大地がやせてるため
「資源の総量には限りがある」
徹底したエコロジー思想をもつ。
さて、このわれわれの進むべき指針を示してくれ
てるといっても過言でない、ありがたいゼロサム
社会でなにがおこってるか。
あなたの損イコールおいらの得。
富をえたものは周りを騙したと同義であり悪意と
裏切りのみが美徳とされる。
「善人や成功者は、その地位をかすめとった人間
である」
「したいときに欺くのは、当然とされる」



国家は収奪の対象であり、ロンダリングの道具と
いうわけですね。大切にせねばなりません。
団塊ジュニアネット右翼になって、親の世代に
牙をむいたようなことが、かならずおこるだろう。
ほんのしばらくすれば、リビングルームの書棚が
「くうねる」や「そとこと」で埋まってるような
フェアトレードでオーガニック・コットンな家庭
から、めを疑うようなオレオレ詐欺のたつじんが
「湘南の風邪」PVみたく輩出されてくるはずだ。
そのとき、そいつが
「幼少期に性的虐待をうけたトラウマで…」
とかいっても信用しないように。
だって経済合理主義の立場からすれば、橋の下に
いるホームレスを焼くのは就職活動のようなもの
なんだし。



「ポエティック・ジャスティス」
詩的な裁き。なる成句がある。
地獄への道をとりあえず今んとこ舗装してるのは
ロハスなのだ。
それゆえ、この思想を声高にとなえてる人たちが
かげでピラミッド・スキームに傾倒し、精神的な
バランスをとってたとしても、当然だと捉えねば
ならないのである。