TPO文明の終焉

こないだ、たまたま見てた映画「ロゴパグ」が
面白かったので、ビデオ棚をひっくりかえして
「アルファビル」を発掘。
日テレ「懐かしの名画劇場」録っといたやつ。



あらすじ
秘密諜報員003は、第四惑星アルファ都市へ
潜入する。そこは、社会へ同化できないものは
理性によって、自殺に追いこまれてく。究極の
ディストピアだった。中央宮殿に住む、フォン
ブラウン教授があやつるのは、民衆を管理する
超巨大コンピューター。未曾有の進化をとげた
アルファ60は自動プログラミングを自称する。
われらが英雄レミ・コーションの運命やいかに?



わーなつかしいな。
て、このセットでつかってるコンピューター…
まんまIBMの70じゃん。
あ。
社会保険庁のやつといっしょか。
こりゃダメだ。
こんなんで民衆が管理できるわけがない。



トレンディ・ドラマ「孤独の賭け」においてすら
伊藤英明は、オフィスのデスクにパワーブックを
ひろげつつ、ハセキョーとラブラブなのである。
かたや手書きの台帳とともに、存在感を増してる
社保庁所有のビンテージシンセは、地球防衛軍
ペガッサ市からの侵攻を想定してた頃の、代もの。
オープンリール・テープが、くるくる回る風景で
おなじみだ。
わたしはこの2つが同じ文明に属するとは、どう
しても思えないのだが。
こういうのを、デジタル・デバイドとよぶのでは
なかったか。



いくらなんでも無理であろう。
このご時世に。だって
「おまえのケータイどう?もっさりじゃん?」
みたいな会話をしてて、初出勤するわけですよ。
したら役所の地下にある巨大空間へ連れてかれて
そこには「世界遺産」でしかみたことないような
マヤのピラミッドがそびえてて
月食と日食をもとに暦は、算出してね。大丈夫。
夏至冬至には、そこのすき間からお日さまが…」
て、上司から咬まされるようなもんではないか。
やる気になんか、なるはずない。
わたしだったらサボる。



こうやって、騒乱というよりはむしろいきすぎた
発達、未曾有の進化という、ポジティブなはずの
ちからによって、文明は滅亡してくんだな。そう
感じました。
1964年発行の「電子計算機」には
「ローマの貴族は5人の奴隷をつかってた。現代
この贅沢は人道上、ゆるされない。
しかし、電子計算機がある。
これが会社にはいると、社員は『生まれながらの
貴族』、電子計算機は『生まれながらの奴隷』と
なるのだ。
十年後、われわれは数倍にあがった所得を週2回
休暇にたっぷり使える『デラックスビジネスマン』
となるであろう」
て、書いてあります。



グリーンピアとかをせっせと造るとこまでは計画
うまくいってたのにねぇ。
たしかに貴族だよなあ。あの仕事の態度。
あさズバで非難ごうごうだった
「15分データ入力したら30分休み」?
とかってのも
「計算機イコール奴隷」
奴隷に使われてはならない。ってタームで考える
と、なるほどと頷けるとこがありますね。
そういうつもりだったのか。



だからわたしは、この人たちはアトムの未来図を
まんま信じて、ここまできてしまったべつの文明
グローバルカルチャーやWWWとは異なるいわば
TPO文明の末裔と認識すべきであり、同義的な
批判をあびせたりするのは、間違ってると思う。
ひとつの文明の終焉に立ちあえるなんてラッキー
ではないか。
そこで「名寄せ問題」に関してはクリプキ赤間
モデルをもって、世界理解につとめられんことを
おすすめしたい。



これによると、固有名とはすなわち、存在であり
現実は幾重にも分裂する。
5000万の名前が未処理で、少なくともすでに
死亡してしまってるのが160万。
ということは約4000万の国民が、この瞬間も
ドッペルゲンガーに悩ませられてる。おそくまで
毎日、残業してるというのに、六本木では分身が
ギャルを口説いてたりして、なんも身におぼえが
ないにもかかわらず
「おさかんね」
などと因縁つけられてしまう可能性がある、危機
てき状況。おさえに青山墓地では160万の血に
飢えたゾンビが、夜な夜な出没。
以上が、TPO文明の終焉を告げる出来事として
おこってるということになるのだ。



そうそう
「大人を定義するのが先だよ大人ってのは過去を
破壊してくんだよ」
て、自称・知能が言ってたのが印象的でした。
ポルポトっぽいと感じました。