なぜわれわれは「童貞」を本気で叱れないのか

注意:ネタバレあり。映画の内容に言及してます。



処女膜再生手術、なるものがある。
それと似たようなたぐいで、処女をよそおうため
100のテク。みたいなやつも、それこそ体位の
数とおなじだけ、存在するといってよい。
これはなにも、女性のみなさんが自ら求めてする
わけではなくて、男が望むから。つまり男性側の
ニーズに応えた結果なのである。
女はこわいですからね。
処女はもっとこわかったりもしますけれども。
やるやらないにかかわらず。
あ、差別はよくないですよね。「処女性は肉体と
乖離した概念たれ」と書いてある箱に、わたしも
500円ばかり、献金したいと思います。
しかしなぜ、男はこんな矛盾したこころを抱えて
つり革につかまってなくては、ならないのか。
わたしの永年あたためてきたビジネス・モデルに
よると、ことは反対なのだ。
鏡像、願望が投影されてるからあすこまで事態は
ややこしくなってるのである。
すなわち、女をもいちど処女に(献金済)したい
のではなく、男が「あの日に帰りたい」のだ。
困難きわまる道ではあるが、この技術が開発され
民営化されたあかつきにはそれこそハゲ治療など 
ふっとんでしまう、市場規模が期待できるはず。
だっていちおう、ご批判もいろいろあるかと思う
のですが、わたしだって今日まで生きてきたわけ
でして。
人間関係のスキルもあがったし、空気も読める。
謝罪すべき相手もわかってる(笑)。
こういうグッド・ポイントだけのこして、性的な
記憶をすべて抹消し、童貞になれたらもう、どこ
行ったって楽しいと思いますよ。
水族館なんか最高じゃないすかね?あとホテルの
バイキングとか。ばら色、ドキドキですよ。
そんな男の、見果てぬ夢を描いたのが
映画「トータル・リコール」監督・バーホーベン
であった。
カリフォルニア州知事演じるクゥエールは、ある
日、地下鉄の車内で見た「童貞どうでしょう?」
という動画に誘われ(株)リカルを訪れる。
しかし広告代理店にありがちな話で、プレゼンは
ばっちりだったのだが、追加料金を払ったとこで
実際の施行は、ザルも同然。
なんと州知事、すでに童貞だったことが明らかに
なるのである。
あたりまえだが、中2な彼に、シャロンも冷たい。
この可能世界内では、妻は妻としては存続できず
真理がわれわれに開示するがごとく、逆に1番の
敵対者となって、夫に立ち向かってくるのだ。
ようやっとのことで危機を脱し、理想の女を求め
はるばる火星までやってきたシュワルツネッガー。
が好事魔おおし。理想の女と信じてはきましたけ
れど、それが宿命の女だったらあなた、いったい
どうします?
そういうストーリーである。
ついでにネタバレしとくと、代理店いがいと仕事
マトモだったんじゃない?的な読みも残されてる。
その場合でも、たぶん州知事はまた、火星いった
こと忘れると思いますよ。