南京大虐殺と新自由主義

日経・私の履歴書アラン・グリーンスパン



第7回
「当時私はある考え方に引かれていた。経験論の
極端な形の一つで、論理実証主義と呼ばれていた。
要は、事象を直接観察できなければ、それは存在
しない、概念的な土台がないという考え方だ。
ランドのグループの会合に出たある日、私はこの
考え方に基づいて
『道徳的に絶対正しいと言えることはない』
との持論を展開した。実証できる事実がなければ
確信は持てないからだという理屈だ。
すると彼女はこう言った。
『自分が存在すると断言することもできない、と
いうのですか?』
『そうかもしれません』
『そう言うあなたはいったいだれですか』」



アイン・ランドとは新自由主義者の尊師なひと。
個人的には思想の煩雑さ加減からし実証主義
いい勝負だと思う。
興味深いのは、何ものも確信が持てなかった彼が
あたかも「振り子の原理」の様に、ジャングルは
どうせ地獄なんだと悟ってく、心の道ゆきである。
すなわちこれらは、鏡の裏表なのだ。
これ以降、明日からの彼は、あたかも割り切った
お付き合いを求めてる人妻の様に、ハードコアな
ビジネスシーンへと自我をすて、ロケットダイブ
してく。
グリーンスパンもここまではっきりとトンデモを
心酔してると、告白してしまっていいのだろうか。
ナチス第3帝國がヘッポコ絵かき崩れの描いた餅
だったように、デジタル十字軍の夢は才能のない
ジャズミュージシャン奏でる調子外れの笛の音に
あわせ、世界中が踊ってただけだったんだ。そう
回顧されるまでにあと10年もかからないだろう。