ETV特集「ケータイ小説」

さんざんな言われようなケータイ小説だが、1つ
だけ、はるかにマトモなとこがある。
作者が(自分は一般人だという理由から)あんま
カメラのまえに出てこないのだ。
顔だしNGで後ろ姿だけだったり、くちベタ遠慮
がちで、いかにも場違いな感じが終始ただよう。
自作とからめて
「老いらくの恋がいかに日本人にとって重要か」
などと饒舌にあれこれきいてないようなことまで
カメラめせんで訴えかけてきたりしない(まだ)。
これは立派だ。
比べるとなんとか賞の作家たちは総じて借り物の
衣装に身を包み有名写真家のファインダー目がけ
女豹のポーズをとったりして、まるでタレントだ。
よって書いてる本もいかに技術的に優れてようが
(あやしいもんだが)単なるタレント本に見える。
ということは今の純文学とやらのシステム全体が
崩壊したわけである。
あのどこにでもあるような子供騙しの少女小説
横書きにしたもの相手に。だ。
実際、このジャンルはオールタイムTOP100
なのだし、ダンテやペトラルカに比べてしまえば
実力の差はたいしてない。ともいえる。
さらには各種賞の低年齢化も進み、内堀どころか
天守閣の井戸まで埋まってしまってる。
ならば顔だししてないやつのほうが、それだけで
より「小説」に近い。
「小」とは貧しさなのだ。
どちらがデジタル・カルチャーに対応してるかは
いうまでもない。