中出し脳の恐怖

地球侵略計画の、耐え難い軽さ。
例えばスペル星人にとって、白血球を集めるのは
死活問題だったはずだ。そのために円盤も飛ばし
腕時計のかたちをした秘密兵器も、ばらまいた。
なのに、オトナにくらべ、子供の白血球のほうが
新鮮だと、やってみるまで気がつかなかったのだ。
あわてて対象を子供に変更せんと、とった戦略が
「円盤の絵を描いて腕時計をあてよう」
キャンペーンである。
科学能力は5000ポイント
計画性  2000 
実行力 −9000
くらいだろうか。
ペガッサ星人にしても、地球をこなごなにできる
爆弾までしかけたのに
「きみの星は自らのちからで軌道を変えれんの?」
ときた。
滅亡の危機に瀕してもやむなし。
そんな感じすら漂う、杜撰さである。
つまりこれらの設定は、リアリティのなさ(所詮
お子さま向け、TV番組だから…)というよりは
属性としてとらえねばならない、必然なのだ。



スターバックス故宮から撤退。
H&Mシャンゼリゼ出店をパリ市は許可せず。
などのニュースと合わせ、今年はコンビニ業界の
売り上げが初めて失速した、TPO文明終焉の年
である。
巨大フランチャイズ・ネットワークやグローバル
チェーンに対立し、打撃をあたえるものは現代の
文化英雄といっても過言でない。
先のペッパーランチ事件も、おなじ流れで捉える
べきではないか。
社会正義のアウトソーシング、のような。



ペッパーランチの背後には北鮮が…」
とか
「人身売買もしくは臓器不法移植…」
のような陰謀ろんがささやかれてた。
つまりこの犯人たちは、われわれの想像を遥かに
凌駕する「大物」なのである。
ひとびとが驚愕したのは、その円谷プロ設定並の
計画のちみつさだった。
ガレージは借りた。スタンガンも準備OK。誰が
シャッターを閉めるか、役わり分担もばっちり。
おさえにコンドームも買っときましたよ。
なのに
「囲う…というか。飼っとくつもりだったんです」
は、いくらなんでもないだろう。
そうみんな感じたのだった。



でも、ほんとにそうだろうか?
わざわざ宇宙人を持ちだすまでもなく、けっこう
じつは、お馴染みじゃないだろうか。
わたしは
「あるある」
と思った。
打ち合わせに使用する、レストランはトレンディ。
パワーポイントでプレゼンもパーフェクト。
なのに現場では必ずハナシが違い、水も漏らさぬ
ばかりかザル同然。
次回まちがいなく埋め合わせはしますから!
みたいな、どっかの代理店がもってくるイベント
企画に、そっくりではないか。
さすがに
「目標30000店!」
とかいって、どかどか造っては壊しスクラップ&
ビルドをくりかえしてく企業戦略の、申しごだけ
のことはある。




とはいうものの、わたしも
「集団で暴行すんのにコンドーム?潔癖症なの?」
あたりがどうも、ひっかかってた。
つまりWでいうと、犯人らは辻ちゃんというより
加護ちゃんオシなのだ。
そしてこの耐えられない軽さを、われわれは必然
と、解釈せねばならないのである。
なぜならばこれらは、おなじ構造をもってるから。



ペッパーランチのコンドームにくらべ、こちらを
不思議に感じたひとは、少ないようであった。
でも
契約解除=芸能界引退
というのがよく、わからなかったのだ。
うわさでは、とりきめとして今後の出版や芸名の
使用が禁じられてる、ということだった。
タレントとかアーティストとかいってっけど要は
奴隷?と思った。
いちおう本人になにがしかの才能なり、カリスマ
なりはなかったの?というかそんなのはもともと
問われてなかったの?
そう感じた。
あたかも流通その他を、ぜんぶ農協がおさえてて
嫌われたら最後、にんじんひとつ作って売れなく
なる農家みたい。
てそれは、どこの全体主義国家の話なんだろう?



フランチャイズとは、大相撲の親方株とちがって
転売できない。
所有権ではなく使用権。
本部からそこんちの名前やノウハウを一定期間に
かぎって使って、お金もうけしていいですよ。と
いう、社会契約なのだ。
つまりわれわれを待ってるのはこんな未来である。
某芸能事務所と所属タレントは、フランチャイズ
同様のサーバー&クライアント関係にあり、その
ネーミングおよび活動内容については事務所側に
所有権がある。
セレブカルチャーのように、人格そのものが商売
ネタとなるにつれ、かつてのわれわれはせいぜい
身体を売ってれば(いやいやながらも世間に追従)
すんだのだが、今や魂を(いやなことでも喜んで)
売らなければならなくなってきてるのだ。



われわれがたまにでくわす
「アイデンチチィがダメなんじゃないのあいつ?」
みたいなのからはじまって、少子化の問題までも
このTPO文明の終焉をうけた現象のような気が
してならない。
ターミネーター技術というものがあって、農家は
不稔化した作物の種を、それが害虫に強かったり
いろいろ利点があるとの理由で、多国籍企業から
買うのである。
買う、というのは正確には誤りで、これら種子は
特許権で厳重に保護されてるがゆえに、1回だけ
植えてもいいですよ、と貸してくれる。
のがニュアンスとしてはちかい。
タレントの中出しくらい嫉妬せず、大目にみよう
ではないか。
というか、未来は明るいのかもしれないのだから。